特徴的な治療法

難治性過活動膀胱に対するボトックス療法と仙骨神経刺激療法

1.過活動膀胱とは

尿意切迫感(急な尿意)を認め、頻尿および/または夜間頻尿を伴う症状を指します。ただ、膀胱炎等の尿路感染症などは似たような症状がでますので、これらを除外する必要があります。過活動膀胱で悩んでいる方はとても多く、調査された集団で少し差がありますが、成人のおよそ15%程度に過活動膀胱の症状があると報告されています。一般的な治療方法は減量等の生活習慣の改善と薬物療法(β3作動薬・抗コリン薬)ですが、これらの治療が十分な効果を示さない「難治性過活動膀胱」の患者さまがいます。難治性過活動膀胱の患者さんに対してボトックス療法(ボツリヌス膀胱内注入療法)と仙骨神経刺激療法(SNM)が保険適用されています。

2.ボトックス療法(ボツリヌス毒素膀胱内注入療法)

ボツリヌス毒素は、アセチルコリン放出抑制により神経筋伝達を阻害し、筋肉の弛緩を促します。神経筋伝達を阻害された神経は、数か月後には再開通し筋弛緩作用は元に戻ります。このボツリヌス毒素の特徴が着目され、眼瞼(まぶた)/片側顔面のけいれんや意識しない筋肉の収縮による首の曲がり(痙性斜頸)に対する治療薬として用いられてきました。

過活動膀胱の尿意切迫感も膀胱平滑筋の予期しない収縮で生じます。したがってボツリヌス毒素を膀胱内に注入することで膀胱平滑筋を弛緩させ、尿意切迫感を抑えることができます。2019年から難治性過活動膀胱に対する治療として保険適用されています。

ボトックス療法(ボツリヌス毒素膀胱内注入療法)

3. 仙骨神経刺激療法(SNM)

仙骨神経刺激療法(sacral neuromodulation: SNM)は仙骨神経に電流を流し、難治性過活動膀胱や機能性便失禁の症状を抑えます。仙髄領域への求心路刺激が副交感神経の働きを抑制し、膀胱の収縮を抑えると考えられています。

SNMは仙骨神経刺激システムを体内に埋め込む必要があります。体内に機械を埋め込みますのでMRI撮影に制限がかかりますが、適切な条件下で全身MRIの撮影は可能です。

仙骨神経刺激療法(SNM)