当院で特徴的な治療法

単孔式腹腔鏡下手術

腹腔鏡下手術は開腹手術に変わる手術として普及定着しつつあります。術後疼痛、美容上の問題、在院期間、社会復帰について満足行く結果であり、その術式がもたらした恩恵は計り知れません。しかし、さらにその欠点を少なくしようという試みの一つとして単孔式腹腔鏡下手術が登場しました。

通常の腹腔鏡下手術は3個から6個の約1cmの小切開から操作ポートを挿入し対象臓器へアプローチを行い、その手技の複雑さに伴いポート数(傷の数)は増加します。腹腔鏡下手術は低侵襲とはいえ、ポート挿入部は時に疼痛や筋肉の攣縮を引き起こし、患者さんのQOLを低下させる要因となります。

臍は胎生期に生じた臍帯の体側に残存した部分の瘢痕であり、生まれつき人間が持っている唯一の瘢痕(傷)でもあります。その臍を腹腔鏡下手術のアクセスとして使用することで、切開した傷を隠しうることが可能となるのです。したがって、臍を介した単孔式腹腔鏡下手術は「傷のない腹腔鏡下手術」いわゆる外科手術の究極の理想を実現した手術と言えるでしょう。単孔式腹腔鏡下手術(laparo-endoscopic single-site surgery:以下LESS)は胆嚢摘除術、虫垂切除術といった腹部外科手術のみならず、泌尿器外科領域でも応用は十分可能で当院泌尿器科でも2009年10月より臍を介したLESSを導入し、これまで約90名の患者さんに安全に施行されています(国内では最多症例数、2012年9月現在)。その適応となる疾患は副腎腫瘍、腎がん、腎盂尿管移行部狭窄症ですが、術式の難易度が高いことから熟練した医師にのみ施行可能な手術です(当科には2名執刀医在籍)。手術時間を含めた手術成績は通常の腹腔鏡下手術とほぼ同等であり安全な術式ですが、褐色細胞腫、腫瘍径5cm以上、肥満(内臓脂肪の多い場合)の場合は難易度が上がりますので手術適応から外れる場合があります。

文責 宮嶋 哲

単孔式腹腔鏡下腎部分切除術
術後2ヶ月目の創

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