特殊外来

尿失禁外来

(水曜日午後 担当医:長田浩彦)

尿失禁とは

正常の排尿機能とは、無意識の状態で尿を膀胱に保持(畜尿)し、尿意を覚えた時意識的に尿を排出(排尿)することです。尿失禁とは、これらの機能が損なわれた状態であり、これにより社会的・衛生的に支障を生ずるものとされています。

尿失禁の種類

(1)腹圧性尿失禁

お腹に圧力が加わったときにおきる尿失禁を腹圧性尿失禁といいます。咳などによる腹圧の上昇や階段の昇り降りなどの動作がきっかけとなります。高齢の女性に多く、男性では前立腺全摘除術後にみられます。

(2)切迫性尿失禁

前ぶれもなく尿がしたくなり、その高まりが急なため、トイレまで間に合わない尿失禁を切迫性尿失禁といいます。男女を問わず高齢の方に多くみられます。
(1)と(2)の両方を認めるものを混合性尿失禁と言いますが、比較的多く認められる尿失禁です。

(3)溢流性(いつりゅうせい)尿失禁

尿が膀胱容量を超え、ためきれず溢れ出てしまう尿失禁を溢流性尿失禁と呼んでいます。前立腺を有する男性に多くみられます。

(4)機能性尿失禁

排尿機能は正常にもかかわらず、身体運動障害の低下や痴呆が原因でおこる尿失禁です。

尿失禁の診断と検査

問診、排尿日誌、生活の質(QOL:quality of life)アンケート調査、触診(膀胱脱、子宮脱の存在の確認)、理学的検査(ストレステストなど)、検尿を行い、さらに残尿測定や尿失禁の重症度の客観的な目安となるパッドテストを施行します。病態の把握は尿流量測定、膀胱内圧測定といったウロダイナミクス検査で判定します。

また、当尿失禁外来では症例によっては、多チャンネル、ビデオモニターを駆使した詳細なウロダイナミクス検査も施行しております。

尿失禁の治療

当院ではまず、尿失禁関連を専門とする看護師の指導のもとに診察、治療がすすめられます。女性の骨盤底筋体操の指導やパット、オムツの紹介なども積極的に行っております。

(1)腹圧性尿失禁

生活指導や骨盤底筋体操を施行していただき、緩んだ骨盤底筋を鍛えていただきます。無効の際には内服療法を施行します。さらに効果不十分の場合は手術療法を検討します。当院では下記に示すような手術法を取り入れております。
TVT法(Tension-free Vaginal Tape):尿道や膀胱を釣り上げて尿失禁防止するのではなく、尿道の後ろにテープを回し、腹圧がかかった時に尿道が動くのを防ぐ手術です。下腹部の左右に1センチほどの小さな切開を入れ、メッシュ状のテープを挿入します。
TOT法(Trans-Obturator Tape):TVTとはテープの通す場所が異なり、両内股の付け根を切開し、閉鎖孔(骨盤の骨のすき間)から坐骨の裏にテープを通して尿道を補強します。
コラーゲン注入療法:尿道括約筋相当部位にコラーゲンを注入し、括約筋を補助します。

(2)切迫性尿失禁

生活指導(dietなど)、膀胱訓練などの保存療法を開始します。前述の保存療法が、無効な場合には、薬物療法を行います。膀胱の過敏性を取り除くことを目的として抗コリン薬を内服していただきます。状況に応じて三環系抗うつ薬も有効な場合があります。また、干渉低周波治療器なども準備中です。

(3)溢流性(いつりゅうせい)尿失禁

薬物療法では、尿道の抵抗性の上昇に対しては、α1受容体阻害薬を内服します。一方、膀胱の収縮性の低下に由来する場合はコリン作動薬を内服します。尿閉となり、腎機能への障害が予測される場合には尿道にカテーテルを留置し、尿路を確保します。前立腺が原因の場合は手術が必要になる場合があります。

(4)機能性尿失禁

周囲の環境改善を検討する必要性があります。

※性器脱(子宮脱、膀胱瘤、直腸脱)

性器脱は、骨盤底の緩みから、膣から子宮が出てきたり(子宮脱)、膣の壁と一緒に膀胱が下がってきたり(膀胱瘤)、直腸が膣側に突出する(直腸脱)といった一種のヘルニアです。入浴時に触れる、歩行時や排便時の下垂感という症状が多く、尿失禁や排尿・排便障害をしばしば伴い、程度により治療の必要となる場合があります。当院では婦人科の先生方と協力して治療にあたっております。従来より、リング(ペッサリー)挿入や子宮摘出術、膣壁縫縮術が行われていますが、最近は膀胱瘤や直腸脱に対して、TVM法(Tension-free Vaginal Mesh)という緩んだ骨盤底の靱帯や筋膜をメッシュを用いて補強する方法が行われております。子宮摘出術と比較して傷の痛みが少なく、子宮温存が可能、再発が少ないなどの利点が言われています。

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