研究テーマ

腎移植研究

当教室では、腎移植医療の向上を目指した研究を行っております。

今までの研究成果

ラット腎移植急性拒絶反応モデルを用いてtacrolimusによる免疫寛容誘導に関する検討を行い報告しました(慶應医学72,1995)。慢性腎移植モデルを用いた免疫抑制剤や虚血再灌流障害などの初期インパクトが慢性拒絶、特に尿細管細胞のアポトーシスの発生に深く関与することを証明しました。また、この一連の実験からlecithinized-SOD添加臓器灌流液の有効性を報告し(Kidney International 61,2002)、本邦における特許を取得しております。サイクロスポリン導入までの3種類免疫抑制療法に関する検討(慶應医学69,1992)、サイクロスポリン導入後のウィルス感染の検討を行い免疫抑制療法の最適化の方向性を示しました。その後、tacrolimus,MMF,baciliximabなどの新規免疫抑制剤が導入され(移植39,2004)、当教室の腎移植成績向上に寄与しております。ステロイド剤使用に伴う合併症として大腿骨頭壊死発生に関する検討を行い(移植39,2004)、ステロイド減量免疫抑制プロトコール導入へとつながりました。

腎移植に関する現在進行中のテーマは下記の通りです。

  1. ラットの腎虚血性再還流障害における選択的NFκB活性阻害剤の治療効果の検討:ラットの腎虚血再還流モデルに対し、選択的NFκB活性阻害剤を投与することで、control群と比べ投与群では腎障害が軽減されているかを検討しております。今後は、ischemia/reperfusion injury(IRI)やacute rejection(AR)といった移植後早期の障害性反応の治療、献腎移植での腎障害の治療ならびに、それらとchronic rejection(CR)の連鎖を断ち切るあるいはCR自体の進行を抑制する可能性などを総合的に検証していく方針です。
  2. 選択的NFκB活性阻害剤を使用したラットの急性拒絶反応モデルの研究:選択的NFκB活性阻害剤を用い、ラットの皮膚移植モデルにてacute rejection(AR)の抑制する可能性を検証しております。
  3. 選択的NFκB活性阻害剤によるヒト樹状細胞の成熟抑制効果の検討:成熟樹状細胞は抗原提示細胞の一つであり、その成熟抑制は、免疫抑制療法の一つとして重要です。樹状細胞成熟においてNFκBは重要な転写因子の一つです。選択的NFκB活性阻害剤を用いて、樹状細胞に対する成熟抑制効果を検討しております。
  4. PPARγ agonistの慢性拒絶反応に対する治療効果の検討:pioglitazoneは、インスリン抵抗性改善薬として開発され、2型糖尿病患者に対して使用する薬剤ですが、PPARγ(peroxisome proliferator-activated receptorγ)agonistと働くことが分かっています。PPARγ agonistの炎症性サイトカインの抑制効果にてchronic rejection(CR)の予防、もしくは治療となりうるのか、PPARγ agonistそれ自身に免疫抑制作用があるのかを検討しております。今後、移植腎の免疫抑制剤使用による副作用の軽減への寄与、さらには移植腎の長期生着につながる可能性を検討していきます。

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